エリート女子選手のサーブの特徴
目的
女子バレーボール選手のポジションがサーブの特性に関連しているかどうかを判断すること。
方法
対象
Indesit European Champions Leagueのファイナル4(FF1とFF2)で行われた8試合(29セット)
サーブはヨーロッパクラブリーグの上位4チームで2シーズン連続でプレーした25国籍の58名のプレイヤーの1300サーブとした。
52名がナショナル選手であり、16人がオリンピアン。
測定項目
①ゲーム内の役割(ポジション)
・セッター
・ミドル
・サイド
・オポジット
②サーブタイプ
・ジャンプスピンサーブ
・ジャンプフローターサーブ
・オーバーヘッドフローターサーブ
・オーバーヘッドスピンサーブ
・アジアンフローターサーブ(アンダーハンド/サイドサーブ)
③サーブ速度(km/h-1)
・40未満
・40-49
・50-59
・60-69
・70-79
・80-89
・90以上
④サーブエリア(3分割)
⑤サーブのターゲットゾーン(コートを6分割(前3つ、後ろ3つ)
⑥サーブ結果
・得点(4)
・相手チームの攻撃を防ぎ、フリーボールを返すサーブ(3)
・相手チームが攻撃を仕掛けてくるのを制限し、プレイヤーが急速に攻撃するのを防ぐサーブ(2)
・相手チームが望むあらゆるタイプの攻撃が仕掛けることができるサーブ(1)
・サーブミス(0)
結果
サーブタイプ
表1は最も使用されるサービスがオーバーヘッドフローターサーブ(48.6%)であり、サイドプレイヤーが最も使用していたことが示されている。続いてジャンプスピンサーブで特にサイドとオポジットが使用し、3番目に多いサーブはジャンプフローターであった。
表1 ポジションとサーブタイプの関係
ジャンプスピン | ジャンプフローター | フローター | スピン | アジアン | |
セッター | 34 | 21 | 130 | 12 | 33 |
サイド | 129 | 35 | 226 | 39 | 0 |
ミドル | 43 | 124 | 222 | 40 | 0 |
オポジット | 105 | 41 | 54 | 12 | 0 |
合計 | 311 | 221 | 532 | 103 | 33 |
1300サーブのうち、スタンディングが758(59.08%)であり、ジャンプは532(40/92%)打っていた。
サーブで最も得点が多かったのは、ジャンプスピンサーブ(25サーブ;39.1%)であった。しかし、エラーが最も多いサービスタイプでもあった(66サーブ;56.9%)。
ジャンプスピンサーブを使用する傾向があったオポジット(15得点;7.1%)が最大のサービス効果(直接得点)に達した。
サーブ速度
表2は734のサーブが50-59km/h-1の速度に達していることを示している。この速度はミドルプレイヤーとサイドプレイヤーの間で最も頻繁に出現した。
これらのサーブのほとんどはスタンディング(75.6%)でおこなわれ、ほぼ全てがオーバーヘッドフローターサーブ(88.8%)であった。
283のサーブ(21.8%)が70km/h-1を超える速度に達し、そのうち26サーブ(2%)が90km/h-1をこえた。また、サイドの選手が最も多くのパワーサーブを記録した(110サーブ;>70km/h-1)。
表2 ポジションとサーブ速度の関係
<40 | 40-49 | 50-59 | 60-69 | 70-79 | 80-89 | >89 | |
セッター | 11 | 42 | 138 | 6 | 12 | 20 | 1 |
サイド | 5 | 35 | 238 | 41 | 57 | 45 | 8 |
ミドル | 4 | 29 | 276 | 77 | 28 | 15 | 0 |
オポジット | 0 | 11 | 82 | 22 | 30 | 50 | 17 |
合計 | 20 | 117 | 734 | 146 | 127 | 130 | 26 |
サーブ結果
表3はポジションごとのサーブの有効性を示している。ミドルプレイヤーが最も効果的なサーバーであり、429のうち56(13.1%)の効果的なサーブを行った。これらのサーブは直接得点(4)につなげるか、相手チームが速攻を仕掛けることを制限(3)した。
表3 サーブ結果とポジションの関係
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
セッター | 13 | 150 | 44 | 16 | 7 |
サイド | 37 | 251 | 98 | 21 | 22 |
ミドル | 32 | 242 | 99 | 36 | 20 |
オポジット | 34 | 98 | 52 | 13 | 15 |
合計 | 116 | 741 | 293 | 86 | 64 |
サービスエリア
表4に示すように、最もよく使用されるサービスエリアはゾーン1の後ろであり、最も使用されないエリアはゾーン6の後ろであった。
表4 サービスエリアとポジションの関係
ゾーン1 | ゾーン5 | ゾーン6 | |
セッター | 229 | 1 | 0 |
サイド | 263 | 99 | 67 |
ミドル | 130 | 232 | 67 |
オポジット | 165 | 30 | 17 |
合計 | 787 | 362 | 151 |
ゾーン1からのジャンプスピンサーブが最も直接得点を取れたゾーンであった(45サーブ;70.3%)。
出典
Relation between in-game role and service characteristics in elite women’s volleyball.
Quiroga, M. E., García-Manso, J. M., Rodríguez-Ruiz, D., Sarmiento, S., De Saa, Y., & Moreno, M. P. (2010). The Journal of Strength & Conditioning Research, 24(9), 2316-2321.
用いられた論文はこちらです。