レセプション技術向上のために取り組んだ事例研究

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  目的

Y 選手のレセプション動作を修正することによってレセプション技術が向上する事例を提示し、バレーボールにおける競技力向上のための基礎資料を提供すること。

 

  方法

  対象

K 大学女子バレーボール部に所属する 4 年生。22 歳、競技歴 13 年、身長 152 ㎝、体重 50.7 ㎏。 ポジションは、バレーボールを始めた小学 3 年時はセッターであったが、小学 4 年時から現在に至るまでレシーバー(高校からリベロ)であった。

 

  Y選手の問題点

①足幅は狭くないが前後に足が開いておらず、左右真横に開いているため、前後のボールに対して反応が遅れ、特に前のボールに対して一歩が出ずにすぐに膝をつく傾向にあった。

②準備局面において両足を左右真横に開くことで高めのボールへの対応が遅れ、上体の起立と後傾による腕の振り動作を行っている傾向がみられた。

③腕を振ってボールを制御しようとする傾向はボールのスピードに関わりなく表れ、単純な腕による打撃運動となり、ボールが飛び過ぎる傾向がよく見受けられた。また、腕に上手くヒットせず、野球で言えばファールのように意図した方向とは別の方向にボールが飛んでいくことがあった。

 

  練習方法の提案:大学 4 年時の 8 月末~11 月の約 3 か月間であった。

練習 A :面づくり(パラボラ)

両膝をつき、腕(肘)は体から離した状態で構えて、ボールが来た方向に(下げたり体に引き付けたりすることなく)そのまま差し出す。面の角度やボールを捕らえる位置は、パラボラアンテナの形状をイメージして行う。パラボラアンテナはパラボラ(放物面)の中心軸に平行にやってきた電波がパラボラで反射すると一点(焦点)に集まるという原理を用いる。

 

練習 B :チャンスボールを「ポン」と当てるだけ

落下するボールの下に速く移動して、止まってレシーブをする。サーブの落下地点の予測能力や移動スピードを上げることを第一の目的として行うものである。止まってレシーブすることにより、落下するボールが腕に当たるまでの「間」をつくる感覚を養うことができる。レシーブをする際は、セッターに返球するのではなく、ボールを「ポンっと落とす」ように指示する。「落とす」ということは、ボールを当てる感覚を養うもので、ボールを上へ上げないようにすること、つまり腕を振り上げることを予防するためである。

 

練習 C:ボールをセッターへ向けて転がす

練習 B の感覚が掴めたら次はポンっと落とすのではなく、練習 A の面づくりと同じ要領でレシーブし、 セッター(目標)へ向けてボールを転がす。転がるボールの行き先によって、正確に面が作れているかを確認することができる。一般的に、定位置へパスしたりボールを送るには基本的方法が三つあり、その一つが「右あるいは左肩を落とし、面を横(右あるいは左)にし、身体の前を横切ってパスを送る。レシーバーの左へボールが来るときには右肩を落とし、面を身体の左側の適当な高さに上げる。」という方法である。このパスの方法はより広い範囲に、より速く反応ができ、緊急時に応用できる。

 

  結果

問題点を修正し、試合におけるレセプション成功率を 58.1%から 71.9%へと向上させることができた。出場セット数が修正前の 19 セットから修正後は 16 セットに減少しているにも関わらず、受数は 43 本から 64 本に増加した。これはY選手のレセプション技術の向上がチームメイトから評価され、レセプションを任せる範囲が広がったと考えられる。

「修正前(5 月)のレセプションは腕を振って、よく膝をついている。修正後(11 月)のレセプションは、体の高めに伸びてきたボールに対して、体を横にずらしてとれるようになった。また、腕を振っていない。前傾姿勢でとれている。移動が速くなったことで膝をつかなくな った。」とコメントした。

 


出典

ある大学女子バレーボール選手のレセプション技術が向上した事例レセプション動作の修正を目指した 3 か月間の取り組み

坂中美郷, 村田憲亮, & 青木竜. (2016).スポーツパフォーマンス研究, 8, 139-151.

用いられた論文はこちらです。

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