トップミドルブロッカーが語るブロックのコツ

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  目的

ブロックパフォーマンスの向上を目指 す選手、コーチ、スタッフにとって有益な知見を得ることを目的に、国内トップリーグである V・プレミアリーグ男子でブロック賞を複数回受賞している一流センタープレイヤー 2 名のブロックに関する運動感覚やコツ、コツ獲得に至る思考の詳細、ブロックの動きやパフォーマンスなどの変容を明らかにすること。

 

  方法

  対象

北川祐介氏:身長 195.0 センチメートル ブロック賞:5 回獲得

富松崇彰氏:身長 191.0 センチメートル ブロック賞:7 回獲得

 

  インタビュー調査内容

「ここを押さえると、上手くできる、成功するとい うポイント、または意識やその内容、動きの意識」
「コツ獲得となった動きの具体例」
「ブロックの「コツ」を獲得するまでのプロセス」
「ブロックの「コツ」定着への工夫」
「ブ ロックの「コツ」の獲得による自身の競技ないし競技生活への影響(変化)」
「ブロックの「コツ」の伝達方法につい て」など

 

  結果

  レセプション後

重心を低くする構え(以下、低構)に関する語りがあった。「毎回同じ(動作)じゃなきゃだめ」「ほぼクイックに跳ぶくらいまでちょっと沈み込む」「だからもう逆に低くなって、(クイックに)跳ぶまでの時間を減らす」

研究対象者 2 名はブロックを行う際に低構によって高いジャンプを可能とし、センタープレイヤーとしての身長の低さを補っていた。特にセンタープレイヤーに求められ、試合中に数多く出現するクイックと両サイドからの複数枚攻撃へのブロック参加を可能にする方法として、低構からのブロックをコツとして習得したと捉えることができる。

 

  トスアップ直前

キャンセル・解除

セッターが(トスを) 上げる瞬間に、レフトに上げた瞬間にここまで(コミットブロックする時の構えの低さまで)いってそこから (サイドに)行っていた」としている。

ほぼコミットで跳ぶくらいまで沈み込む。そこから(ブロックに)間に合いそう、クイックだなと思ったら(クイックに)跳べば間に合うし、 サイドだったらそこからコミットの踏み込みを解除して両サイドに走る」「跳びそうなんだけど、(クイックが)こないと思ったらそこから(サイドに)いく」というように解除という言葉を使用している。

スプリットステップ

クイックがないかなと思ったときは,逆にこうセッターが(トスを)上げる瞬間に一瞬こう一緒に軽くポンって跳ぶみたいな。

「テニスにおいて相手がボールを打つインパクトの瞬間に併せて軽くホップを行うスプリットステップという動作」を用いていることが確認された。

 

  トスアップ後

ハンズ・アップするとジャンプが十分にできないという問題点から、顔及び肩の辺りに下げた手の振り上げをジャンプ高の獲得に利用している。

 

  アタックヒット前

最短で」「相手が打ってくる時によくこのあおる(手が最短でネットの前に出ない動作)をしないように(手 がネットの前に出るのが)速ければ速いほど良い」とブロック時の手の動作、軌道が重要であることを語っている。

この動作を実践する際に「感覚は中指が白帯を触るイメージ」「理想はネットの 1 センチとかその上を手がこう前に出ながら完成する」とブロックの際に極めて効率的な手の軌道を意識している。

さらに、北川氏は「調子いい時は自分の前腕の感覚が皮 1 枚ネットタッチするかしないかが操れていた」と語っている。

 

  インサイドワーク

相手攻撃への注意の割合を具体的な数字として考えることで、より明確な情報に変換していると捉えることができる。


出典

バレーボールにおける一流センタープレイヤーのブロックのコツに関する研究

五十嵐元, 中西康己, 秋山央, & 西田誠. (2017). バレーボール研究= Journal of volleyball sciences19(1), 28-33.

用いられた論文はこちらです。

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