男子ビーチバレー五輪優勝チームの特徴
2020年1月27日

目的
2004年アテネオリンピックのエリート男子ビーチバレーボールチームの技術的戦術スキルの比較分析を行うこと。
方法
対象
2004年アテネオリンピックのビーチバレーボールチームの34試合8チームとした。
順位は以下の順である。
- ブラジル(BRA)
- スペイン(ESP)
- スイス1(SWI1)
- オーストラリア(AUS)
- カナダ(CAN)
- ドイツ(GER)
- スイス2(SWI2)
- アメリカ(USA)
技術項目
- サーブ効果:成功、エース(決定)、エラー
- サーブ種類:ジャンプサーブ、ジャンプフローター、フローター
- セット(トス)評価:完璧、良、不良、エラー
- セット(トス)種類:オーバーハンド、バンプ(アンダーハンド)
- アタック結果:キル(決定)、不成功
- アタック種類:スパイク、ショット(軟打など)
結果
サーブ
サービスエースに関してチーム間で統計的な有意差が認められた(p<0.05)。
BRA | ESP | SWI1 | AUS | CAN | GER | SWI2 | USA | |
決定率(%) | 8.7 | 1.1 | 1.3 | 1.8 | 2.1 | 3.2 | 3.1 | 1.6 |
ミス率(%) | 9.6 | 4.2 | 12.2 | 4.7 | 7.2 | 7.3 | 13.8 | 7.1 |
具体的には、ジャンプサーブでの有意差があった。
BRA | ESP | SWI1 | AUS | CAN | GER | SWI2 | USA | |
フローター(%) | 14.7 | 58.3 | 31.7 | 62.2 | 70.8 | 7.0 | 43.6 | 29.0 |
ジャンプフローター(%) | 12.2 | 28.4 | 26.3 | 25.3 | 5.6 | 60.0 | 28.7 | 54.6 |
ジャンプ(%) | 73.1 | 13.3 | 42.0 | 12.5 | 23.6 | 33.0 | 27.7 | 16.4 |
アタック
チーム間のアタック決定で統計的に有意な差が明らかになった(p<0.05)。また、チームの平均アタック決定率は59.8%であった。
BRA | ESP | SWI1 | AUS | CAN | GER | SWI2 | USA | |
アタック決定率(%) | 70.5 | 60.5 | 60.6 | 55.7 | 54.1 | 54.1 | 62.4 | 60.3 |
結論
金メダルをとったブラジルは、他チームと比べてジャンプサーブを多く行っていた。このことから、ジャンプサーブは全てのビーチバレーボールチームにとって非常に重要な武器になることが明らかになった。
アタックにおいて、チーム間で大きな違いが明らかになった。ブラジルのチームはアタック攻撃の決定と成功という点で全体的に優れていた。
このことから、エースサーブやキルアタックなどの直接得点をもたらす技術的戦術スキルは、トップの男子ビーチバレーボールレベルのチームにとって重要な成功する要因であると考えられる。
出典
COMPARATIVE ANALYSIS OF THE TECHNICAL-TACTICAL SKILLS OF ELITE MALE BEACH VOLLEYBALL TEAMS
Papadopoulou, S., Giatsis, G., Billis, E., Giannakos, A., & Bakirtzoglou, P.(2020)Sport Science. 13(1):59-66.
用いられた論文はこちらです。